(1)核不拡散条約
核不拡散条約(NPT)は、核兵器保有国が増える(拡散する)ことを防ぐ目的で作られた条約で、1970年(昭和45年)に発効されました。現在、 2003年(平成15年)1月に一方的に脱退を表明した北朝鮮も含めると、国連加盟国の中での加盟国は190ケ国です。加盟していないのは、インド、パキ
スタン、イスラエルの3か国です。
核兵器が拡散することを防ぐため、それまで保有していた米・ロ・英・仏・中の5か国だけに核兵器を持つことを認め(核保有国)、それ以外の国が持つことを禁止しています(非核保有国)。
そのため、核保有国には、核兵器を減らすための交渉を誠実に行うことを求め(第6条)、非核保有国には核兵器の製造、取得を禁じています。
ただし、非核保有国には原子力の平和利用が認められています。非核保有国が原子力発電所を建設する場合は、必ずそれが平和利用であるかどうかを確認するために、国際原子力機関(IAEA)の検査を受ける義務があります。
しかし、イランは原子力の平和利用を名目に核兵器を開発している疑いをもたれており、問題となっています。また、核保有国の核兵器の削減も進んでいません。これ以上核兵器の保有国を増やさないためにも、この条約を各国が真剣に取り組むことが求められています。
(2)
再検討会議
核不拡散条約(NPT)の成果を定期的に検討するため、5年毎に核不拡散条約再検討会議が開かれます。発効から25年後の1995年には、条約の延長を検討する「再検討・延長会議」が開かれ、無期限延長が決まりました。
2000年(平成12年)の核不拡散条約再検討会議では、核保有国による核軍縮への努力が不足しているとの声が高まり、「核兵器の全面廃絶に対する核兵器保有国の明確な約束」を盛り込んだ合意文書が採択されました。
しかし、2005年(平成17年)の再検討会議は、核保有国と非核保有国の意見が鋭く対立し、成果もなく閉幕しました。
核軍縮交渉の義務や、2000年(平成12年)の核兵器廃絶への約束を守ろうとしない核保有国の姿勢に対し、国際的な批判が高まっています。
2020年(平成22年)の再検討会議に向けての第2回準備委員会が今年4月、スイス・ジュネーブで開催され、実質的課題について議論が行なわれました。 |