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長崎平和宣言

 戦争は人類にとって最大の悲劇である。
 長崎市民は23年前、この浦上原頭に炸裂した原子爆弾により十万の尊い人命を奪われ、且つ現在もなお、放射能障害により多くの被爆者が、生命の不安にさいなまれている。
 この悲惨事は、人類史上に一つの忌わしい汚点として永久に銘記されることを疑わない。
 さりながら世界の核保有国は、核兵器のもたらす。人間殺傷の犠牲を知りつつも、その製造、実験を競い、力による制覇を企図しているかの如き情勢を呈していることは、誠に痛恨に堪えないところである。
 更に、現実の問題として、流血の惨事は局地的に行われており、人間相互の残虐的な殺傷を見聞するとき、胸のうづきを覚える。
 われら被爆市民は、世界のすべての国とその国民に訴えたい。
 「武力抗争の手段は直ちに放棄せよ」と。
 長崎市民は、原爆の悲惨苦を身を以て体験しているが故に戦争を否定し平和を希求する一念は極めて熾烈なものがある。
 本日の原爆犠牲者慰霊並びに平和祈念式典に当り、殉難者の冥福を祈ると共に新たな決意を以て全市民の正義と英智を結集し、世界平和の確立に向って、勇敢に邁進せんことをここに宣言する。

8月9日
長崎市長 諸谷 義武