昭和20年8月9日、わが長崎に運命の原爆が投下されていらいここに19年。
われら長崎市民は、身をもって体験した惨禍が再び人類史上に繰り返されざることを念願し、世界恒久平和達成への祈りを捧げて、これを全世界に強く訴え続けて来た。
このわれらの切なる願いは、昨年8月5日、英、米、ソ3国間に締結せられた部分的核実験停止条約によりその曙光が見出されつつある。
さりながら、世界の情勢は砲煙いまなおそのあとを絶たず、困ぱいその極にある国々と、核兵器の製造、所有に全力を傾けてその優位性を誇示せんとする国々とがあり、一触即発の危機さらに迫るの感を深くする実情にある。
われら長崎市民は、えい智と正義と愛とが人類に与えられた総てのものであることを固く信ずるがゆえに、世界の良識と人道の名においていっさいの戦争この地上より排除して、諸国家が融和強調することを切望する。
原爆投下満19年の今日この時、われら40万長崎市民は、決意を新たにして世界恒久平和達成のため、一意挺身せんことを在天のみ霊に誓い、これを全世界に宣言する。。
8月9日
長崎市長 田川 務 |