昭和20年8月9日、13年前の本日この刻、長崎市の原爆による惨禍は真に言語に絶したのである。
爾来、惨苦と悲愁と廃墟の中に呻吟したわれら長崎市民は、起って、原水爆の犠牲よりすべての人類を救うため、核兵器の放棄と、正義と和解による世界秩序の確立を叫び続けてきたのである。
然るに今日、兵器としての威力増強のための核爆発実験は、その後を絶たず、地球上の大気と海水は放射能によって汚染され、人類の生存はおびやかされつつある。
私は被爆都市長崎市民として、全世界のあらゆる国家、あらゆる民族に対して核兵器の全面的廃止並びに核実験の即時停止を更に強く訴えるものである。
“平和は長崎から”われら長崎市民は、この聖にして崇高なる大旆をかざして、世界平和の確立に向ってさらに全力を尽し、世界恒久平和の先駆たることを茲に宣言する。
8月9日
長崎市長 田川 務 |